昔の出来事で、印象に残ったことをお話しさせてください。神学校に入ったころ、田村譲二さんという男性が、夜、突然訪ねてきて、学生にお話をさせてください、と願いました。院長のルカ・ベルトラム神父様が、希望者に、お話をしても良いと許してくれました。そこで田村さんが言うのです。「皆さんには、二つの目が必要です。学徳と聖徳が必要です」と。

学徳とは、正しい知識のことです。知恵、勇気、節制、正義の4つの「枢要徳」のことです。パウロの手紙に見られる信仰、3つの徳を「対神徳」と呼びます。田村さんの言った聖徳を「枢要徳」として教会では教えています。
倫理上の4つの徳とは、①知恵、②節制、③正義、④勇気を意味します。
古代ギリシアの哲学者、プラトンによって初めて体系化され、キリスト教世界にも深い影響を与えました。

神を対象とする徳の、①信仰と②希望と③愛の三つを「対神徳」と言います。

田村譲二さんが言ったのは、学徳のことでした。田村譲二さんとの出会いと言葉も忘れられない思い出です。その徳には、人間的徳と対神徳とがあるのです。その人間的徳について記しました。

神学校の卒業前の一年間は助祭として奉仕します。その助祭叙階の前に、口頭試問がありました。面接して、質問を受けるのです。その時の質問に、何でも自分が大切だと思っている聖徳を言いなさい、と。
希望が入っているものは、合格でした。「希望」は大切な徳です。教会では「枢要徳」のひとつです。このこと以前にもお話ししたと思います。

心理学を学ぼうとして、青年心理学を考えました、先生は、むしろ、老年心理学を学びなさい。と言われました。どう思いますか?