フィリピンでは9月に新学期が始まる学校がたくさんあります。日本と学校制度が違うのと英語圏の大学などに留学できるようそうなっているのだと思います。

フィリピンのウエスタンサマール・カルバイヨグ市にあるフランシスカン・デフセンター(聴覚障碍者のセンター、以下センター)も新学期が始まっています。

日本で新学期というと、何かそわそわした、希望やちょっぴり不安もある感じですが、フランシスカン・デフセンターではとても静かな新学期です。

それは、新学期の諸連絡やお祈りなどがすべて手話で行われるからです。このセンターでは、聴覚障碍者(以下デフ)の子供たちが寄宿生活を送り、クライストキング・レッジ(以下CKC)付属の小学校、高校、大学のデフのコースに通学し、生活訓練も受ける場所で、以前旭川で司牧していた佐藤宝倉神父が奉仕しています。

私が始めてこのセンターを訪問したのは今から12年前、2005年夏でした。センターはまだ古い建物で、山間部からやってきた1年目の子供たちは、自信がないのか、引っ込み思案な感じで、手話のコミュニュケーションも不十分でした。それから12年、当時の1年生の一人は大学に進学し、今年卒業しました。

毎年、数名の子供たちがこのセンターで新たなスタートを切りますが、フィリピンの山間部や海沿いの町は胎性風疹が原因で生まれながらデフになる子供たちが多く、街から離れた場所に住む子供たちが、学校にも行けず、手話も全く分からないのを見た佐藤神父はそうした家庭を訪問し、家族と話し合い、手話教育を受けることができるように尽力してきました。

最近は、その子どもたちの中から、手話を学び、進学して教員を目指す生徒も出てきています。今年もまた新たな仲間がセンターにやってきました。静かな新学期ですが、希望のあるスタートです。

 

投稿者プロフィール

Fr.petero Abe Keita
Fr.petero Abe Keita
ペトロ阿部 慶太司祭
フランシスコ会 日本管区『小さき兄弟会』

2020年 4月13日 東京六本木修道院へ赴任されました。
これまでの投稿をこのまま掲載いたしますので皆様どうぞご覧ください。