今年の四旬節はかなり重い気持ちで迎えています。ウクライナ侵攻が始まって、収拾がつかないまま1年がたちました。トルコ地震は大きな災害をもたらし、世界各地からの支援は追いつかないのが現状のようです。北朝鮮は今年に入って2月18日に大陸間弾道弾(ICBM)1発を発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。2月20日には、60ミリ超大型多連装ロケット弾2発を日本海に向けて発射したと発表しています。一方日本政府は、昨年12月16日の臨時閣議で「国家安全保障戦略」など3つの文書を決定しました。NHKの解説によると、敵の弾道ミサイル攻撃に対処するため、発射基地などをたたく「反撃能力」の保有が明記され、「日本の安全保障政策の大きな転換」となると言われています。

正直、私には、政治や外交の問題はよく分かりません。とは言え、TVのニュースや解説を見ているだけでなく、同じ思いをしている人々と手をつないで何かできればと願っています。

日本カトリック正義と平和協議会は、昨年12月20日に、“岸田政権の「安保関連3文書」閣議決定に抗議し撤回を求めます” (日本カトリック正義と平和今日会議HP)とメッセージを発信しています。また、カリタスジャパンは「ウクライナ危機人道支援」、「トルコ南東部地震救援募金」を開始しています。

教皇フランシスコは、2023年度の四旬節のために、「四旬節の登攀(とうはん)、シノドスの道のり(仮訳)」(VATICAN NEWS HP)題したメッセージを発表され、 『毎年四旬節第二主日に朗読される主の変容の福音は、この四旬節に、主はわたしたちを連れ出し、ご自身と一緒に「高い山に登り」、聖なる神の民と共に特別な「登攀」を体験するよう招いておられる。』と述べておられます。実は、この「主の変容」の福音(マルコ9,2-13)は、2月18日のミサでも朗読され、私には、7節の“「雲が現れて彼らを覆い、雲の中から声がした。『これは私の愛する子。これに聞け。』”という御父のみことばが心に残っています。

この後、3人の弟子はイエスに従って山を下り、やがてエルサレムへの道を辿って行きます。そこで、イエスが、「人の子は、人々の手に渡され、殺される。殺されて三日の後に復活する。」と話されても弟子たちはこの言葉が分かりませんでした。それだけでなく、弟子たちは、イエスがエルサレムでユダヤ教の世界で栄光を受けられるのだと思い、その弟子として誰が一番偉いかを議論していました。

実は、私も弟子たちのように、同じ過ちを犯しているのではと思うようになりました。確かに、毎日ミサを捧げ、ご聖体を頂き、「教会の祈り」もしていますが、ファリサイ派の人たちと同じで、いや、それ以下で、心の中は自己中心の思いに固まり、怠惰な毎日を送っているのが現状です。四旬節を迎えた今、御父は『主に聞き従うように』と招いておられるのだと思います。そして、主は、『時は満ち、神の国は近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。』と、心の扉をたたいておられます。私は、一人で「教会の祈り」を唱えるとき、よく典礼聖歌411「わたしは門の外に立ち」を心の中で歌います。

 

🎼 私は門の外に立ち 扉をたたいている もし声をきいて 門を開けるなら 私は中に入り

 あなたとともに住む。 扉の外には キリスト 心を開いて 神の言葉と愛とを受けよう

 キリストは 今もたたく 心の扉を 🎼

 

 

 

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投稿者プロフィール

Fr.Nakamura Michio
Fr.Nakamura Michio
クレト中村道生司祭
フランシスコ会 日本管区『小さき兄弟会』 旭川地区 旭川フランシスコ修道院 助任司祭 (旭川五条・旭川六条・神居・大町・富良野)
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