先日北海道で初めて線上降水蒂が発生し、十勝や釧路地方に大雨や突風の被害をもたらしました。日本各地でも大雨や突風の被害が出ています。なんでも海水温の上昇が続き多くの水蒸気が積乱雲をつくり大雨や竜巻などの被害が出ているようです。わたしは教会便りの巻頭言はこの前書いたばかりと思っていました。しかし来月はわたしの当番になっていました。月日の経つのは早いものです。月日の経つのは早いことから、落語の雷の話を思い出しました。
『お月さま、お日さま、それに雷さまがそろいまして、下界へ下りてきまして・・名所古跡をわたり歩いて、今夜のォ泊まりはこの旅籠に・・・と一軒の旅籠ィ泊まりまして、あくる朝ンなりますってぇと、雷さまだけがお酒を飲んじまって・・・・・これ、もっとも、ごろつき(雷の音に無頼漢を掛ける)でございますから、あんまり身持ちがよくないので、こんなンなって、(寝相の悪い態) 寝ちまって・・・・・目が覚めて・・・・・おいおい・・・・・女中さん
女中:(少し離れた処から) はァい・・・何でございます?
雷 :俺のォ相棒はどうしたい?
女中:あァ・・・、お月さまとお日さまでございますか? ・・・もうお発(タ)ちになりましたよ
雷 :ふゥゥん。月日の経つのは早えもんだ
女中:ところで雷さま、あなたはいつ頃お発ちンなります?
雷 :うゥん・・・俺ァこうなったら、ひと眠りしてな、夕発ちにしよう』。
月日の経つのは早いことから、もう一つ、思い出したことがあります。以前に聴いたクイズです。『郵便局員と銀行員が競争したらどちらが勝ったか?』勝利したのは銀行員で、光陰矢のごとく走りました、郵便局員は郵貯(悠長)に走ってました』。高齢になると一日が過ぎるのが早いです。わたしたちは子どものころから一つひとつできることを獲得してきました。年を取ると手に入れたものを一つずつ、失って行きます。できないことが多くなり、失うものが多くなります。目や耳や歯などが衰え、さらに考えることもダメになります。寂しいことです。たくさんのものがなくなっていくけれど、自分の時間が増えていきます。たいへん人気のあったNHKの朝ドラ「あんぱん」の放送が先日終了しました。アンパンマンの作者やなせたかしとその奥さんの暢(のぶ)が主人公のドラマでしたが、土佐弁の「弱々しい」「頼りない」「張り合いがない」といった意味の形容詞「たっすいがー」の崇がいつも暢に叱られていました。わたしは名前が孝なので、朝からタカシって叱られているのを聞いて、自分に言われているような気がしていました。わたしは高齢になってテレビを観る時間が増えました。祈ること、考えることも、感謝する時間もたくさん見つけることができるようになりました。ありがとうの反対語はあたりまえです。これからは感謝することをたくさん見つけていきたいです。「たっすいがー」のタカシのままでは神さまに申し訳ないです。土佐弁の「たまるかー」は驚いた時、何かを受け取って感動した時、また、ある状況に対して感心した時などに発せられることばでヒロインの暢がいつも使っていました。それでわたしも、いつでも「たまるかー」って神さまからのめぐみに驚いているタカシでいたいです。
投稿者プロフィール

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ヴァレンチノ山本孝司祭
フランシスコ会 日本管区『小さき兄弟会』 旭川地区協力司祭
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