カレンダーが最後の月になり、年賀状の受け付けが始まりました。今年もあとわずかになりました。この文章は一月号に載るので、何か新年にあたっての言葉を述べたいと思ったのですが、頭に浮かぶことは今年一年の振り返りばかりです。2021年は新型コロナの勢いが収まらないなか、7月末から多くの反対を押し切って東京オリンピックが開催されました。コロナによって国民の不満が溜まり、10月初めに菅義偉首相が退任し、新しく岸田内閣が誕生して10月末に総選挙が行われました。教会の方では昨年から開催されていた聖ヨセフ年が12月8日に終わりました。いま日本でのコロナの勢いは収まっていますが、新しいオミクロン株の出現で、この先どのようになるかは不明です。ミサや教会の集まりなどは、まだ三密を避け以前の姿には戻っていません。

 聖ヨセフ年が終わって一週間後の12月15日の一般謁見で、教皇フランシスコは「沈黙の人、聖ヨセフ」をテーマに話をされました。「聖ヨセフは、その沈黙をもって、受肉された御言葉を受け入れるために心を広げるようわたしたちに招いています。ヨセフの沈黙は、無口とは異なります。それは耳を傾ける姿勢に満ちた沈黙、勤勉な沈黙、その深い精神性を表す沈黙であります。沈黙の時間を育み、そこで、わたしたちの中に住まわれる聖霊の言葉に身を浸すことを聖ヨセフから学びましょう。心配、誘惑、願い、希望など、わたしたちの心の中の多くの声にかき消され、聖霊の声を聞き分けることは決して容易ではありません」。と話されました。沈黙の内に聖霊の声を聞き分けることは難しいです。よく祈らなければ、聞こえてきません。わたしなどは祈っても雑念ばかり浮かんできます。でも、たまに雑念の中に何かよい閃きが浮かぶこともあります。わたしは新しい年の抱負に、祈りを深めることを持って来たい思います。

 一年前のクリスマスに戸田神父さんを見送りました。わたしは今年もたくさんの親しい人を見送りました。自分が呼ばれる日もそんなに遠くないと思います。その準備もかねて毎日を大切に過ごして行きたいと願っています。わたしは渡辺和子シスターの「ほんとうに大切なこと」という日めくりカレンダーを自分の部屋で使っています。その毎月の1日に、今日という日は自分にとって「いちばん若い日」、という言葉が載っています。
これから迎える2022年の毎日を、今日より若い日はもう来ないと考えて、沈黙の時間を大切にして、生きていきたいと思います。

投稿者プロフィール

Fr.valentino Yamamoto Takashi
Fr.valentino Yamamoto Takashi
ヴァレンチノ山本孝司祭
フランシスコ会 日本管区『小さき兄弟会』 旭川地区協力司祭