今日から聖週間に入ります。今日のミサの開催の部分では、イエスのエルサレム入城が記念されました。イエスは「主の名によって来られる方に、祝福があるように」との人々の大歓声に迎えられ、ロバの子に乗ってエルサレムに入りました。しかし、その5日後には十字架の死が待っていました。

今年の典礼はルカ福音書が使われるC年の典礼です。今日のエルサレム入城の箇所と受難の朗読にはルカ福音書から取られています。ルカ福音書には、他の福音書にはない、イエスの優しさを示す話がたくさんあります。放蕩息子の話やよいサマリア人の話もルカ福音書だけの話です。今日の受難の朗読にもイエスが泣き悲しむエルサレムの婦人たちに声をかけられた話や、十字架上で自分を十字架につけた人々のために「父よ、彼らをお許しください」と祈り、一緒に十字架につけられた犯罪人の一人に「あなたは今日わたしとともに楽園にいる」と言葉をかけています。ルカ福音書には「あなた方の父がいつくしみ深いように、あなたがたもいつくしみ深い者になりなさい」という言葉があります。

イエスのやさしさを考えると、彼は子ロバに乗ってエルサレムに入られました。ロシアは戦車でウクライナに攻入りました。戦争が始まってもうひと月以上になりますが、わたしはプーチン大統領の顔を見ると、自信に満ちた冷酷な顔に、すぐ気分が悪くなります。そして悪魔はみんなこんな顔をしているのだろうなと思ってしまいます。自分のしていることは全部正しい、そんなことはあり得ないのです。立場を変えれば見えることがたくさんあります。今日の集会祈願には「あなたは人類にヘリくだりを教えるために、救い主が人となり、十字架をになうようにお定めになりました。わたしたちが、主とともに苦しみを耐えることによって、復活の喜びをともにすることができますように。」という言葉があります。イエスはヘリくだり謙遜になって、みずからを十字架の死に渡してすくいのわざを成し遂げられました。謙遜に自分の態度を見つめてみましょう。自分には、やさしさが十分にあるか、人のことを考えるゆとりと幅があるか。正しさや正義ではなく、謙遜に人に支えることによって私たちのまわりに平和と喜びが作り上げられていくことを考えましょう。

教皇フランシスコは4月6日の一般謁見で、ウクライナでの戦争のニュースは、安堵や希望ではなく、非道なものが続いている。「戦争を止め、武器を置き、死と破壊の種をまくのをやめよ」という、犠牲者たちの無実の血が上げる叫びは、天にまで届いている、と述べて、犠牲者のため、戦争終結のための一致した祈りを信者らに呼びかけられました。これからもウクライナのために祈りましょう。*(5)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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