今日は全教会の保護者聖ヨセフの祝日です。聖母マリアを除いてはナザレの聖ヨセフのように、神の救いの計画に深く参与した人はおりません。しかしこの聖人は目立たない地味な聖人です。福音書に最後に登場したのが今日読まれた箇所ですがヨセフの言葉はありません。教皇ヨハネ・パウロ二世は1991年に『救い主の守護者聖ヨセフ』という使徒的勧告を出しています。教皇は、教会は内部の問題だけでなく、家庭、社会、国際関係などのさまざまな問題をかかえて、困難に直面している。それを乗り越えるためには聖ヨセフの保護と導きが必要。信者一人ひとりが聖ヨセフを模範と仰ぎ、与えられた自分の使命を忠実に果たすことで、人類の救いのために貢献してほしいといっています。
聖ヨセフにたいする信心は比較的新しく、イタリアでは13世紀にアッシジの聖フランシスコによって、スペインでは16世紀半ばにアビラの聖テレジアのよって崇敬が始まりました。アビラの聖テレジアはこんな風に言っています。『みなさま、聖ヨセフに大きな信頼、深い信心を持ってください。そうすれば聖ヨセフがどれほど、偉大な力を持つお方であることが分かるでしょう。(中略)…わたしは聖ヨセフにお願いして聞き入れられなかったことはありません。』フランスでは17世紀後半にルイ14世が聖ヨセフの日を祝日にしました。1870年にピオ9世教皇が聖ヨセフを全教会の普遍的な守護聖人に宣言し、1995年にはピオ12世が5月1日を労働者・聖ヨセフの日に制定しています。
教皇フランシスコは2015年1月にフィリピンを訪問したとき、家族に向けて話されました。その時、個人的な話をされました。『わたしは聖ヨセフのことが大好きです。なぜならこの人は力強い男であり、沈黙の男だからです。わたしのデスクには、眠っている聖ヨセフの像があります。そして眠りながら、教会を守っているんです。そうです、彼にはこれができるんです。そして問題や困難があるときに、わたしは小さな紙片にそれを書いて、その聖ヨセフの像の下に置きます。その問題のために祈ってもらうためです。』
聖ヨセフに、家庭や教会、さまざまなことの取り次ぎとお願いをすることはよいことです。でも、お願いだけでなく、聖ヨセフに見習うことも大切にしましょう。ヨセフはナザレにおけるイエスの生き方の手本でした。ヨセフは何も言葉を残していません。神のみ旨を受け入れたことでは、聖母にも劣りません。また、夫として、父親として、苦しみ悩み、辛いことも多かったと思います。聖ヨセフは「平凡な社会人の模範」です。本物のキリスト者であるためには、本物の徳を身に着けることが大事であることを聖ヨセフは証明しています。みなさん聖ヨセフを大切にしてください。聖ヨセフを大切にする人には、聖ヨセフが誰よりも輝かしく模範的に仕えた救い主イエス・キリストに対する愛がますます大きくなっていきます。*(0)
使徒的勧告『救い主の守護者聖ヨセフ』
カトリック中央協議会HPより購入できます。