ユダヤ教の教師たちは、モーセの律法を分類して、「〜しなければならない」と命じられている律法248、「してはならない」と禁止されている律法を365、合計613の戒めがあるとし、それぞれの戒めに細かい規定を加えていました。神殿で教えておられたイエスに「律法の専門家」と言われていたファリサイ派の人が、イエスに質問しています。彼らは613ある戒めの中で「シェマ・イスラエル」という戒めがいちばん大事だと考えていました。これは申命記6.4-9の聖句で、「聞きなさい:ヘブライ語でシェマ」で始まっているのでこの戒めを「シェマ」または「シェマ・イスラエル」と呼び、厳格なユダヤ教徒は今日でも命じられたとおり、この聖句を書いた羊皮紙を革の小箱(テフィリン)に収め、一つは左上腕に、もうひとつは額に巻きつけて朝夕の祈りをします。この言葉を書いたメズーザーと呼ばれる物を家の門柱やシナゴグ(礼拝堂)の入り口に取り付け、部屋に入るたびに手を当てて祈ります。まるでわたしたちが聖堂に入る時に聖水を使うようにです。昔、ベンハーの映画を観た時、さまざまな苦難をへてエルサレムの荒れ果てたわが家に帰ってきたベンハーが、門柱のメズーザーに手を当て祈る動作をしていました。

シェマ・イスラエル(申命記6-4)は、聞きなさい。イスラエル。[主]は私たちの神。[主]はただひとりである。6-5心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、[主]を愛しなさい。6-6私がきょう、あなたに命じるこれらのことばを、あなたの心に刻みなさい。6-7これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい。あなたが家にすわっているときも、道を歩くときも、寝るときも、起きるときも、これを唱えなさい。6-8これをしるしとしてあなたの手に結びつけ記章として額の上に置きなさい。6-9これをあなたの家の門柱と門に書きしるしなさい。イエスはもっとも重要な第一の掟はシェマ・イスラエルの掟だと認めてました。そしてさらに「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ」という第二の戒めもそれと同じように大切で律法全体と預言者とが、この二つの掟に基づいている。と言われました。

イエスはシェマの戒めを守って神を愛する人はその隣人をも愛すべきです。と言っているのです。信仰を持っているという人たちは掟を守れない人を差別したり、見下してしまいます。神さまを愛すると言いながら、他人を裁いてしまうのは信仰者の陥りやすい罪です。昔から神を愛するという人たちが戦争をして人を殺してきました。いまのパレスチナでの戦いもお互いに神を大切にしているのに、隣人を大切に思っていないところに問題があると思います。

教皇は「祈りは、憎しみや、テロリズム、戦争の悪魔的な力に対抗する、柔和で聖なる力です」と話されました。そして18日に教皇は2023年10月27日(金)を平和 のための断食、悔い改め、祈りの日とすることを発表しました。またバチカンで開催中の「世界代表司教会議(シノドス)の参加者らは、10月25日(水)午後、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、平和のためにロザリオの祈りを唱えました。祈りはわたしたちのできる大きな援助です。水や医薬品や食料などの目に見える援助はできなくても、神さまの前には大きな力になる援助だと思います。*(O)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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