毎年の四旬節第2主日にはいつも主の変容の福音が朗読されます。これは十字架のつまずきに耐えられるように、弟子たちの心を準備することが目的でした。主の変容の話は、わたしたちの心を、神の世界に向けさせます。地上での出来事、喜び、苦しみ、悲しみ‥‥を復活の栄光の光のもとに見るように招き、そのもとにしっかりと現実を引き受けるように招きます。

今年は8月6日が日曜日と重なったため、典礼の規則で、主の祝祭日が、年間主日に優先して記念されるため、今日は主の変容の祝日になっています。

主の変容は、福音書によれば、受難の40日前にあったことがわかります。キリストが初めて自分の受難と死を予告した後、3人の弟子を連れて高い山に登り、そこで弟子たちは光り輝く姿に変容したキリストを見ることができました。今日8月6日は、日本では広島に原爆投下があった日です。今日から8月15日までが日本カトリック平和旬間になります。主の変容が8月6日に記念されるのは5世紀頃からのことです。9月14日の「十字架称賛」の祝日の40日前が8月6日になるからです。そして15世紀に教皇カリスト13世によって教会カレンダーに加えられました。

わたしはカトリック聖歌集の「♪晴れわたる空高く、のぼります主を仰ぎ、われらも待ちのぞむ、主のくにの とわのさち」という主の昇天の聖歌をすぐ思い出します。主の昇天はわたしたちキリスト者が、主の国のとわのさちを受けつぐようにされたことを考える日です。わたしたちの周りにはたいへんな事苦しい事がたくさんあります。8月1日が記念日だった聖アルフォンソ・デ・リゴリという聖人は「侮辱、貧困、苦痛、その他ありとあらゆる患難は、それが神を知らない人にふりかかるときは、ますます神から遠ざかる機会となりますが、同じことが神を愛する人の上に起こるときは、もっと神とかたく一致し、もっと神を愛する動機となります」と述べています。わたしたちはいまの生活で神と深く一致する機会をたくさんいただいています。

先日わたしはニュースを見ていたら、人間国宝に選ばれた歌舞伎俳優の中村歌六という人が、お礼の言葉の中で「わたしは一生修行、毎日初日の気持ちでこれから努めてまいります」と挨拶していました。わたしは芸の道は信仰の道と似ていると思いました。信仰生活もここまで頑張ったから、もう安心ということはありません。毎日精進、毎日が最後の日の心でいなければと思いました。
主の変容は、キリストが、つらい人生であっても、わたしたちも栄光の姿に変えてもらえる、ことを期待させてくれた出来事です。*(5)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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