典礼暦の最後が近づいてきました。来週の日曜日は、年間最後の主日「王であるキリスト」の祭日になり、12月からは待降節に入ります。この時期の典礼は、世の終わりの救いの完成に目を向けさせます。待降節に入ると今度はキリストの到来がテーマになります。

わたしたちは、世の終わりといわれても遠い先のことのように思ってしまいます。しかし、来週から「灯油が値上がりする」などと聞 けば、いそいで灯油タンクを満タンにします。また、来年10月から消費税が10%になるので、大きな買い物は早いうちにと考えます。わたしたちは過ぎ行くこの世のことには敏感に反応するのに、もっと大事な「永遠のいのち」や神の国に入れてもらうことに関しては、のんびり構えています。他人のことは「あの人はもう年だから長いことない。もうすぐお迎えが来るだろう」と予測するのに、自分はまだまだ死なないと思っています。わたしたちはいつも、これが自分の人生の最後の日と思って真剣に生きなければなりません。神の前に出ることは待ち遠しい喜びの日と考えて充実した毎日を過ごすべきです。

今日は「貧しい人のための世界祈願日です。昨日は、貧しい人に尽くしたハンガリーの聖エリザベトの祝日でした。聖エリザベトは1207年にハンガリー王の娘として生まれ、若くしてチューリンゲン公ルードビッヒ四世に嫁ぎ、三人の子供をうみました。夫が十字軍に加わり病死してからは、城から追放されて苦労しました。24歳で亡くなった最後の3年間は、自分が建てた病院で病人に奉仕しました。王侯貴族には王侯貴族にふさわしい生活、ふるまい、がありましたが、そこから外れて貧しい人々のことを考えたエリザベトは、周囲に理解されず、逆にそれを改めるよう勧められ、最後には城から追い出されました。エリザベトは貴族社会の現実よりも、それを超えた神のみ心を第一に受けとめた聖人でした。先日(11月7日)、教皇フランシスコは水曜日の一般謁見で、「盗んではならない」をテーマに講話したとき、世界の富がごく一部の人々に集中し、多くの人々が貧困の苦しみの中にある現実をみつめ、人を豊かにするのは、財産ではなく愛であると話されました。少し古いデータですが、2010年の国連食糧農業機関の報告書によると、世界の飢餓人口は9億二千五百万人で、人類の7.5人に一人が慢性的な飢餓状態にあり、栄養不足の子どもが6秒に一人命を落としているそうです。日本では体重(Kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出するBMIが二十五以上だと肥満とされます。肥満大国アメリカではBMI30以上を肥満とみなし18歳以上の肥満率は33%だそうです。

あるドクターが『ダイエットなどで、自分に厳しくするのが苦手な人は、他人に優しくしてはどうだろうか。たとえば、おかずを一品減らして、その分の代金を「食べたつもり」で貯金する。その貯金を恵まれない人のために寄付する。誰かのためにと思うと、人間はけっこうやれる。行動変容を起こしやすい』と書いていました。(鎌田實著・人は一瞬で変われる)。これから年末にかけて、忘年会等でお金を使う機会も多くなると思います。でも、天に宝を積む生きた富の使い方も心に留めておいてください。*ハングリーのエリザベト? *(6)

 


聖エリザベト(ハンガリー)修道女


鎌田 實著『人は一瞬で変われる』