今日の福音は、イエスが十二使徒を初めて宣教に遣わした時の注意事項が述べられています。イエスは二人ずつ組みにして派遣しましたが、誰と誰がペアだったかは書かれていません。そして旅にどうしても必要なものだけを持っていくこと、人の善意をありがたく受け入れ、お金や物に頼らないこと、どうしても受け入れてくれない場所では神に任せて撤退することを勧めています。普通、何かの使命を与えて人を送り出す場合、何を持っていくと便利で役立つかを話しそうですが、イエスは神に信頼するために持っていかないものについて話しました。金曜日の朝、修道院の食堂で、今日の福音が話題になりました。同じようなことが書かれているマタイとルカ福音書ではマルコと少し表現が違っています。マルコ福音書の「帯の中にお金を持たず」の箇所が、マタイ福音書では「帯の中に金貨も銀貨も銅貨も入れて行ってはならない」となっています。それで、わたしたちは、小銭の銅貨まで置いていったかどうかはあやしいと話しました。
ミサに与っている皆さんは使徒たちや、司祭・修道者のように宣教を第一に考えなければならないプロではありません。でも洗礼を受けたどの人も、キリストを伝える使命を受けています。神は、福音がわたしたちを通して広がっていくように望んでいます。わたしたちキリスト者はみな何らかの仕方で周りの人々に神様を伝える使命を持っています。でも、肩を張って力まないで、いつもほほ笑んでいたり、苦しむ人を見たらじっとしていられない人であったらいいと思います。これは、簡単ですが大切なことです。
先日、可愛らしい本を読みました。それは「フランシスコ教皇さまへ」という本で、世界の子どもたちの質問と絵にフランシスコ教皇が答えている絵本です。オランダに住む9歳の、ハンネスとリデウァイという双子の子どもの「フランシスコ教皇さま、あなたは、もうそんなに若くはありませんし、これまでにたくさんのことを成し遂げてきました。世界をもっと美しく、すばらしくするために、残りの人生であと何をしたいですか?」という質問に、フランシスコ教皇はこんなふうに答えていました。「親愛なるハンネスとリデウァイ。したいことはたくさんあります。いつもほほ笑んでいたいです。真っ先に神さまに、神さまがわたしたちのためにしてくださる、すべてのよいことに感謝してほほ笑みたいです。神さまのがまん強さにも感謝したいです。・・・あとは、苦しんでいる人びとを助けてあげたいです。間違ったことがまったく起こらないようにできたらと思いますし、少なくとも、間違ったことがあまり起こらないようにしたいです。それから、子どもたちが、イエス様と知り合うのを助けたいです。・・・わたしは年をとっていますし、残された人生は少ないのです(わたしの人生の糸巻きには、わずかな糸しか残っていません)。何ができるかは、神さまだけがご存じです。」
教皇は、子どもに分かるようにやさしく答えていました。いい答えだと思いました。
先日の西日本の洪水で多くの被害が出ました。カリタス・ジャパンが募金を始めています。わたしたちはお祈りと義援金で、ぜひ援助したいです。福音を伝える教会共同体のみなさんが心優しい人であることはとてもいい証になると思います。
フランシスコ教皇さまへ Dear pope Francis
質問と絵・世界の子どもたち
答え・フランシスコ教皇
訳・片柳 弘史
ドン・ボスコ社より
(*6)