愛されて、愛する
- I love Jesus -
無償の愛、ただ愛されることを体験して、人は愛がどういうものであるかを悟ります。愛を知った人は、愛することを通して、さらに愛とは何かを一層よく実感できます。ヘルマン・ヘッセ「アウグストゥス」を借用して「愛」を味わってみましょう。
ある貧しい女性が男の子を生みました。この子、アウグストゥスは彼女の唯一の喜びでしたから、息子の幸せを切に望んでいました。そこに一人のお爺さんが現われて「何でもこうあってほしい事をひとつ願いなさい」と言った時、ためらわずに、母は「この子が、どんな人からも愛されますように」と願ったのでした。叶えられて、アウグストゥスは誰からも愛されました。人々は、彼を愛さずにはいられないのです。彼も王子様のように振る舞いました。愛や親切に無感動になり、心に喜びありませんでした。人にかしずかれ、ぜいたくな暮らしをしながらも、心はすさんでいくのでした。とうとう自殺を考えた時、
あの老人があらわれて、言いました。
「実は、お前のお母さんから『お前が、どんな人からも愛されますように』と求められたのだ。私はそれをかなえてやった。しかし、その願いはお前を幸せにはしなかったようだ。それで、今度はお前に聞きたい。ひとつだけ、どんな願いでもかなえてあげよう」。アウグストゥスは願いました。
「どうか私が、どんな人をも愛することが出来るようにしてください」
老人はうなずきました。そしてアウグストゥスは、人を愛さずにはいられないようになったのです。ひどいあつかいを受けても、ひたむきに愛したのです。今は、高齢になり、見るべき面影もないアウグストゥスでしたが、顔は喜びで輝いていました。
人々は、その顔の輝きに心を打たれるようになりました。アウグストゥスは幸せでした。
内省するために:
◎ 人の幸せを、心から願ったことがありますか。
☆ 自分のものを、与える喜びを知っていますか。
★ 感謝の気持ちを、具体的に表してみましょう。
聖書の個所:
2コリント 9:6-11 「喜んで与える人を、神は愛してくださるからです」
ロ マ 12:9~21 「愛には偽りがあってはなりません」
使徒言行録 20:33~35 『受けるよりは与える方が幸いである』