みなさん主のご降誕おめでとうございます。イエス・キリストの誕生の日付は、聖書には記されていません。初期のキリスト教では、イエスの誕生の日は特に祝われていなかったようです。12月25日を主の降誕とするもっとも古い記録は、354年のローマの『年代記』中の、12月25日、「ユダヤのベツレヘムでキリストが生まれる」という記述です。また336年の同じ年代記にも、主の降誕を祝う日として、12月25日が書かれているそうです。4世紀初めにキリスト教がローマ帝国で公認されると、ローマの宗教の不滅の太陽神の誕生日のお祝い日に、「正義の太陽」であり『世の光』(ヨハネ8.12)であるキリストの誕生を祝う日に決めました。昨夜の主の降誕の夜半のミサでは、ルカ福音書からキリストの誕生の話が朗読されました。キリストの誕生の時に、羊飼いたちは野宿していたことが書かれているので、実際のキリストの誕生の時は冬ではなくもっと暖かい時期だったと思われます。羊飼いたちは羊を連れだし夜は野外で野宿していたので、羊小屋が空いていて、幼子は飼い葉桶に寝かせることができたのです。

 今日朗読されたヨハネ福音の冒頭の言葉は、イエス・キリストが世に来られたことの深い意味を語る箇所です。ヨハネは神が人となられたことを、「光は世に来た」と書きました。神は御子を世に遣わし、すべての人への愛を示されました。しかし、人間は愚かで、神の愛を理解しようとしません。クリスマスの期間中くらいは戦争をやめてほしいです。今年、国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルの戦争犯罪を裁きました。昨年はロシアのプーチン大統領を犯罪人として裁きました。以前国際司法裁判所の所長が、「今は西部劇の時代ではないから、強い者が正しいわけではない」と発言していました。神のひとり子が世に来られたのに、世の中は、強い者=正義、という感じで動いています。寂しいことです。この季節は光のイルミネーションがきれいです。ヨハネ福音書は、万物は言によって成った。言のうちに命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。と書いています。神のひとり子は暗闇を照らす光であったのです。最近は闇バイトや裏金など、光が届かないところでよくないことが行われています。キリストはこの世を照らす光です。クリスマスを機会に、わたしたちのまわりの暗いところに明るさが、冷え切ったところに温もりが、心配のあるところに安心と平和の心が育つように、わたしたちも頑張っていきましょう。*(5)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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