今日の福音では使徒たちが「わたしたちの信仰を増してください」と頼んでいます。弟子たちではなく使徒たちと書かれているのは、ある程度初代教会が大きくなってからも、いろいろな問題があってうまくいかないことが起きたのだと思います。使徒たちは信仰を増やすサプリメントや秘訣があれば知りたいと思ったのです。

イエスは福音書の中で何回も「この人の信仰がこの人を救った」と褒める場合があります。異邦人の女性や、社会から切り離された病人などの信仰を誉めています。信仰は知識や経験とも関係なく、与えられるものです。神学者でなくても、神様について何も知らない老人であっても立派な信仰を持っている人がいます。パウロは「山を動かすほどの信仰を持っても、愛がなければ無に等しい」といいます。(1コリント13.2)。

9月27日安倍晋三元総理の国葬の時、友人代表で安倍さんの時ずっと官房長官だった菅義偉元総理の弔辞が多くの人の感動を呼び起こし、終わったら葬式には不似合いな拍手が会場から起こりました。岸田総理の弔辞は安倍さんを失った悲しみと国葬を行なうようになった理由を述べただけで人の心を動かすほどのものではありませんでした。

信仰は神様に対する信頼とお任せの心を持つことで、そうならなければならないという理屈の問題ではありません。心に寄り添う、お任せすることは小さな子どもでも持つことのできる気持ちです。

昨日10月1日が記念日だったカルメル会の幼いイエスのテレジア修道女はリジューの聖テレーズとか小テレジアと呼ばれています。テレーズは自分の天職を「愛」であると語っていて、修道生活においても、人の欠点をゆるすこと、他人に惜しみ無く愛を与えること、人に譲ること、誤解されても相手を責めないこと、批判されても甘んじて受けること、苦手な相手のためにも愛をもって祈り善行をなすことを「完徳」への第一歩であると見なしていました。そしてその生き方を「小さき道」と呼んでいました。彼女は1897年に24歳で亡くなりその後僅かして聖人にあげられました。わたしは聖テレジアの死後50年の1947年に生まれました。そして洗礼を受けてからこの聖人の書き物を読んで影響を受け司祭になろうと思いました。子どものような心でいることで聖人になれるって、すごく楽な道です。*(5)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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