先週の金曜日8月6日は主の変容の祝日でした。この日は広島の76回目の原爆の日でした。原爆記念公園で平和記念式典が行われ、広島市の松井一実市長は平和宣言で、1月に発効した核兵器禁止条約(核禁条約)の批准を日本政府に求め、核保有国に対しては条約を機能させるために議論に加わるよう促しました。首相就任後初めて式典に参列した菅首相は、条約についての言及を避け、核軍縮の進め方について「さまざまな立場の国々の間を橋渡ししながら、現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要がある」と従来の政府の立場を述べて核禁条約には触れませんでした。わたしは唯一の被爆国である国のトップとして式典に参列していてもこの程度の挨拶しかできない首相を情けなく思いました。

今年の1月1日の「世界平和の日」のメッセージの中に、教皇フランシスコは「平和へのみちのりとしてのケアの文化」というテーマを掲げました。このメッセージでは教皇は2020年から新型コロナウィルス感染症による「愛と連帯の数多くのあかしの傍らで、さまざまな形のナショナリズム、人種差別、外国人嫌悪、さらには死と破壊をもたらす戦争や紛争が新たに勢いを増していることを、残念ながら認めざるを得ません」と述べています。この悲しみを認めた上で、わたしたち小教区の一人ひとりは平和の人になるために〜身近な人たちを置き去りにしない平和の人に〜という言葉を今年の夏のカトリック平和旬刊の間に考えではどうでしょうか。という文章をある教会の神父さんが書いていました。

わたしは近ごろ、季節がら、オリンピックだけでなく、戦争や平和について考えさせる番組が増えてきたと感じています。わたしは先日、NHKのBSプレミアムで7月から「大地の子」が再放送されていたことを知りました。1996年の山崎豊子原作のドラマです。むかし、中国残留孤児が肉親探しに盛んに日本へ来ていたころに放映されたドラマです。物語には敗戦時の過酷な運命、主人公を拾った中国人養父との絆、成人してから文革で受けた苛酷な弾圧、肉親との運命、政治闘争を絡めた日中巨大製鉄所建設プロジェクトが描かれていて、著者が3年に及ぶ現地取材で得た実話を参考に作られていました。8月いっぱいの月曜日の夜9時からBS3チャンネルで放送されています。

さて、8月9日は長崎の原爆の日です。今年は、長崎の鐘で有名になった永井隆博士の没後70年にあたるそうです。博士は昭和26年の5月1日に亡くなられています。もし手に入れば今年のカトリック平和旬間に永井隆さんの書かれた本を読んでみてはどうでしょうか?

今日はなにも聖書の話をしていませんでした。「わたしは天から降って来た生きたパンである」と言われたキリストのお体をいつもいただいていることを感謝しましょう。そして自分が少しでもキリストの平和や喜びを運ぶ人間になれるように考えてみてください。
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永井  隆 著 『長崎の鐘』