今日の福音には「偽善者よ、まず自分の目から丸太を取り除きなさい」という言葉が出てくる。つい先日ベトナムで行われていた、二回目の米朝首脳会談が決裂したばかりだが、わたしは、聖パウロ修道会の公式サイトで、世界の核保有についてのコラムを見つけた。その中に、『2018年現在、世界の9か国が核を保有しており、全世界に14.525基の核兵器が存在する。国別では、ロシアが6850基、アメリカが6450基、フランスが300基、中国が280基、イギリスは215基、パキスタンが150基、インドは140基、北朝鮮が60基だ。被爆国の日本としては、この9か国が核兵器を持つこと自体を大きな問題としてほしい。米朝首脳会談でも、アメリカがまず、「自分たちの核兵器を全面的に捨てるので、北朝鮮も同調してくれないか」と主張するならだれでも納得できるのにそうではない。「まず、自分の目から丸太を取り除きなさい」というみことばは、こういう時にこそ考えてほしい。アメリカのトランプ大統領は核兵器の近代化予算を増やし、核開発競争でのアメリカの優位を強調して平和とは程遠い歩みをしている。このトランプ大統領をノーベル平和賞推薦すること自体、滑稽な話だ。』と書かれていた。わたしは、日本の政治家の中にもキリスト信者がいるだろうに、北朝鮮の核問題について、「すでに核を保有する国こそ先立って核兵器を廃棄すべきだ」と声を上げる人がいないのはおかしいと思っている。

精神科医で、ホスピス医として、教育者として働いた柏木哲夫さんというドクターは、「良き生と良き死」という本の中で、人間の罪深さについて、「人というのは本当に罪深くて、煮ても焼いても食えないガンコさを持っているなぁと感じています。」と書いている。そして①人間は他人の気持ちが分からない動物だ。②人は自分の価値判断を他人に押し付ける動物だ。③人は謝れない動物だ。④人は人を赦せない動物である。⑤人は限りなく自己中心的だ。と人間の五つの罪深さをあげている。そしてハロルド・フィッチという作家の、人間の自己中心性をみごとに表現している文章を載せている。

“おかしくはないか 他の人があることをするのに長い時間がかかると あいつはのろまだといい 自分の場合は慎重だという 他の人が言われもしないことを勝手にすると あいつは出しゃばりだといい 自分の場合は積極的だという 他の人が自分の意見を強く主張すると あいつは頑固だといい 自分の場合はしっかりしているという 他の人が少しエチケットを破ると 礼儀知らずだといい 自分の場合は個性的だという 他の人が上役の気に入るようなことをすると ごますりだといい 自分の場合は協力的だという”。 さらに、「私たちは人の気持ちを本当に大切にしようと思いながら、自分の気持ちを大切にしてしまい、他人の意見を尊重しようと思いながら、自分の判断基準を人に押し付けてしまいます。謝るべきだと思いながら謝れず、人を赦そう思っても赦せず、なるまいと思いながらも、自己中心的になってしまうのが私たちです。」と書いている。わたしたちを罪と人間的弱さから解放し、良いキリスト者に変えてくれるのは聖霊だ。今日の集会祈願は「ここに集められたわたしたち一人ひとりに聖霊をそそいでください。」と祈っている。 *(0)


柏木哲夫著 「新刊良き生と良き死」