今日の福音の中で、イエスは第一の掟として「イスラエルよ聞け、わたしたちの神である主は、唯一の主である。心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛しなさい」と言っておられます。このイスラエルよ、聞け(シェマー・イスラエル) שְׁמַע יִשְׂרָאֵל;は、申命記に書かれていて、ユダヤ教の朝夕の祈りの中心に置かれた祈りでした。敬虔なユダヤ教徒は、この言葉を経札やメズーザにして常に身近においていました。またイエスは第二の掟として、レビ記から引用して「隣人を自分のように愛しなさい」と言います。最後までイエスのそばにいて、聖母マリアを引きとった使徒ヨハネは、愛についてたくさん書いています。「神は愛です。愛にとどまる人は、神の内にとどまり、神もその人の内にとどまってくださいます。目に見える兄弟を愛さない者は、目に見えない神を愛することができません。神を愛する人は、兄弟をも愛すべきです。」また使徒パウロも1コリント13章の愛の賛歌など、愛についてたくさん書いています。
今月は死者の月です。わたしは聖アルフォンソ・リゴリが、死者のために祈ることについて書いている文章を読みました。「キリスト教の愛の教えは困っている隣人をできるかぎり助けることを求める。煉獄の霊魂たちもわたしたちの隣人なのだ。彼らはもはや地上には存在しないが、今も諸聖人の通功にあずかる聖人たちの共同体の一員なのである。《死者の霊魂も教会の一員なのである》から。」「わたしたちもできるかぎり、この煉獄の霊魂たちを助けてあげなくてはならない。かれらが必要としているものは、地上の兄弟姉妹たちが必要としているものより大きいのである。だからこそ、かれらを援助することは緊急を要する義務なのである。」
教会の聖人たちの中には、聖ゲルトルード、ジェノヴァの聖カタリナーこの人は煉獄のことについてたくさんの本を著しているー、聖ヨハネ・マリア・ヴィアンネ、聖ヨハネ・ボスコ、聖ファウスティナなど煉獄の霊魂の訪問を受けた人たちがいました。わたしは、2004年に亡くなったマリア・シンマという婦人の「煉獄にいる霊魂の驚くべき秘訣」という本を読みました。この人は、たくさんの煉獄の霊魂の訪問を受けていて、煉獄とは何か。その中で何が起こっているのか。そこに入る原因となるのはどんな罪か。どんな方法でその霊魂を助けることができるかなど多くのことを伝えています。煉獄の霊魂たちはわたしたちの祈りを待っていて、とくに自分たちのためにミサを捧げて欲しいと願っています。ミサの中でキリストがご自身を神にお捧げになるので、これが彼らを救い出す最も効果的な方法なのです。十字架の道行やロザリオの祈り、また、生活の中の苦しみや困難を自分たちのために捧げて欲しいと望んでいます。
死者の月は、わたしたちの行く末を考える時でもあります。隣人愛について考えるなら、いま最も助けを必要としている、煉獄の霊魂を忘れないでください。彼らのために祈ったことが、後に聖徒の交わりの中で、わたしたちに還元されてきます。 *(0)
『聖アルフォンソによる煉獄の霊魂のためのノヴェナ』
『〈新版〉煉獄にいる霊魂の驚くべき秘訣』