毎年、待降節第2主日は「主の道を整える」ことがテーマになっており、洗礼者ヨハネが登場します。先週の福音には「目を覚ましていなさい」というキリストの言葉がありましたが、今日から来年の年間第2主日(1/14)まで、しばらくの間、主日の福音にはキリストの言葉が出てきません。

第二朗読のペトロの手紙では、初代教会の人たちの中には、救いが完成する主の日(キリストの再臨の日)はいつ来るのか、どうして遅れているのか、と不安に思っていた人がいたので、著者は、神は一人も滅びないで皆が救われるように待っておられる。その日が早く来るように待ち望み、聖なる信心深い生活を送るように勧めています。

今日の答唱詩篇に「いつくしみとまことはめぐり会い、正義と平和はいだき合う」(詩編85.11)という言葉がありました。わたしは以前、経済学者の浜矩子(のりこ)さんが、今の世の中は『いつくしみとまことはすれ違い、正義と平和はいがみあっている』と話したことを思い出しました。彼女はカトリック信者で、3~4年前に札幌の北11条教会で講演会があった時、経済学者として、安倍首相の経済政策を鋭く批判しました。わたしは経済の専門的なことはよく知らないのですが、人間を軽んじ、原発や武器を輸出し、平和を破壊する行為は経済とは呼ばない。経済は、国民の幸福のためにこそあるもので、「平和と抱き合う経済」でなければならないと言いました。わたしはなぜか、よくわかったような気がして、その後で「さらばアホノミクス」という本を買いました。彼女は髪を紫に染め、自分で「わたしは妖怪むらさきババア」と呼ばれていると言っていました。最近はペットに猫を飼う人が増えてきて、猫がもたらす経済効果を「ネコノミクス」というようです。猫は散歩に連れて行かなくてもいいので、高齢者で猫を飼う人が増えているようです。

さて、洗礼者ヨハネは、洗礼を受けに来た人たちに「まむしの子孫よ、悔い改めにふさわしい実を結べ・・・」と厳しい発言をしていたのにも関わらず、徴税人や兵士など多くの人たちが、真面目に考えて悔い改めの洗礼を受けにやってきました。

いまの世の中は永遠の命や魂のことなど考えようとしません。この世の考えに染まらないでください。「人間は、ものの奴隷、経済組織の奴隷、生産機構の奴隷、生産物の奴隷になってはなりません。純粋に物質主義的な文明は、人間をそのような奴隷へと押し下げてしまいます。科学も文明も人間の欲望に仕えています。人に幸せにしてくれるものは、経済でも、科学でもなく、人間の心です。」(ヨハネ・パウロ2世)

キリストの教えを受け入れるために、まず回心、悔い改めが必要となります。先日、今年の流行語大賞に「インスタ映え」と「忖度(そんたく)」が選ばれました。忖度は他人の気持ちをおしはかるという意味です。役人が目上の人を忖度したので良くないイメージにつながりました。わたしたちは神と他人を忖度しましょう。忖度に損得が絡むと「もり・かけ」問題に発展していきます。