イエスは洗礼者ヨハネから洗礼を受けた後、荒れ野で40日の断食をし、悪魔の誘惑を退け、ガリラヤ地方で宣教を始められました。その第一声は洗礼者ヨハネと同じ「悔い改めなさい。天の国は近づいた」でした。ほどなくイエスはご自分の始めた運動を手伝わせるために弟子を選びます。今日の福音はペトロとその兄弟のアンデレが、また、ゼベダイの子ヤコブとヨハネが「これからは人間をとる漁師になりなさい」というイエスの言葉に従った個所です。
先週の月・火とわたしは伊達のカルメル会修道院でミサをしてきました。カルメル会でのミサは昨年の10月以来でした。ミサが始まった時、新しく入った一人の志願者がとてもニコニコしているのに気づいていました。そして説教をしている時に、その人が、わたしの知り合いだったことに気づきました。後で彼女から話を聞くと、3ヶ月間の体験入会だったそうです。これから一度、家に帰り準備を整え、3月になったら正式に入会できそうなので、その時には、わたしに立ち会って欲しいと頼まれました。カルメル会では入会の時に司祭に立ち会ってもらう習慣があるそうです。わたしは彼女から「わたしが初めてカルメル会に来た時は、山本神父様に連れてきてもらったんですよ」と言われて、不思議な縁だなと思いました。彼女にとって、体験入会の3ヶ月間は、とても嬉しくて楽しくて、あっという間だったようです。
誰でも、キリストに呼ばれていると感じた時は、これからの生活、自分の計画や夢など、すべて差し置いても、喜んで、嬉々としてついて行くと思います。もう50年以上も前のことですが、わたしが司祭になりたいと思った時も、神さまから呼ばれていると感じたのですごく嬉しく、親や兄弟たちの心配や反対、大学を中退することなどに何の問題も感じませんでした。今日の福音の最初に召された弟子たちも、自分の親や子供、家族を残してイエスに従いました。でも、不安や心配はなく、喜びの気持ちでいっぱいだったと思います。
イエスは今日もわたしたちを招いています。わたしたちと出会いたいと待っています。皆さんは司祭や修道者に呼ばれたのではないので、家族や仕事を捨てることは出来ません。でも、それぞれが召されている場や身分で、イエスとしっかり出会ってください。イエスはわたしたちを介して、ご自分の福音を外に運んでもらいたいと期待しています。
わたしは自分の机の上に、マザー・テレサの日めくりカレンダーを置いています(超訳・幸せはいつも、ささやかなことのなかに)。その中に「何のために」ではなく、「誰のために」と考えなさい。と書かれている日があります。解説には、『「何のためにこんなことをしなければならないのだ」と思えて、仕事に身が入らないときには、その仕事を「誰のために」しているのかを思い出しましょう。喜んでくれる誰かの顔を思い浮かべれば、不思議と力が湧き上がってきます。自分のためにはできないことでも、愛する誰かのためにならできる。それが人間の不思議さです』。というマザーの言葉が載っていました。
みなさんは愛する人や家族のことを思い出すなら、頑張る力が湧いてくると思います。キリストのことが好きになり、キリストのために頑張る人が増えるなら、福音はもっと早く広く伝わって行くようになると思います。