降誕祭まであとわずかになりました。今日の福音はヨセフが夢でお告げを受け、身重のマリアを妻に迎え入れる決断をした話しです。教皇ヨハネ・パウロ2世は(救い主の守護者聖ヨセフ)という使徒的勧告の中で、「ヨセフは神の母マリアの信仰にあずかった最初の人」また、「神のお告げの信仰によって自分の妻を支えた人であった」と言っています。

先週の木曜日、わたしは来年5月に結婚を考えているカップルの婚約式をしました。わたしは今まで、たくさんの結婚式を司式してきましたが、婚約式をするカップルはほとんどありませんでした。婚約式は結婚を考えている二人が、互いに自分を高め、理解し合い、相手の幸せのために愛を育むことができますようにと、神の祝福を願う式です。近ごろは、先に子供が出来てから急いで式を挙げるケースや、もう籍を入れて一緒に生活している結婚式が多くなってきています。マリアとヨセフも当時のしきたりにならい婚約式をしていたと思います。そんな二人に、先にマリアへの天使のお告げがあり、ついでヨセフへの夢のお告げがありました。二人とも自分たちの考えている夢や新しい家庭への計画があったかもしれません。でも、どちらも不安や不平を口にすることなく、神の計画を受け入れていきました。

今日の福音はマリアから生まれる子どもは人間に由来するものではないこと。その名はインマヌエル(神はわれわれと共にいます)と呼ばれる方であること。またダビデの末裔であるヨセフが、マリアとその子を受け入れたことによって、生まれる子に『ダビデの子』という救い主をあらわす呼び名が与えられることになることを伝えています。

インマヌエルは、イザヤの預言とマタイ福音書だけに出てくる意味の深い名前です。実際には赤ちゃんはイエスと命名されます。ルカ福音書で、天使ガブリエルは「あなたは身ごもって男の子を産むでしょう。その名をイエスと付けなさい」といい、エリザベトは「わが主のおん母が私のところに…」とその子のことをわが主と呼び、天使たちは羊飼いたちに「きょうダビデの町に、あなたがたのために、救い主がお生まれになった」と告げます。そして幼子は、受胎の前に天使が告げたようにイエスと名づけられます。わたしたちは一日に三回お告げの祈りをします。「みことばは人となり、わたしたちのうちに住まわれた」と祈るとき、自分がみことばを持ち運ぶ人間だということを考えてください。わたしたちが「みことば」に生き、みことばを運ぶとき、インマヌエル・神はわれわれと共におられるというイエスの名が意味のあるものになります。

救い主はこの世に来られました。イエスはご自分がだれであるかを、だれにも知らせることなしに、ナザレの実家ではなく、人に知られることなく、旅の途上で、名も知らない人たちの中で生まれました。救い主は、まったく控えめで遠慮ふかい姿でこの世にやって来られました。

わたしたちは目立ったり、宣伝することなしに、まったく控えめに、イエスを人々に運ぶこともできると思います。先の使徒的勧告には、「ヨセフの姿はいろいろなことが沈黙に包まれているが、沈黙はヨセフの内的な面を顕著に表している。ヨセフは内的生活の人であった」と述べられています。年末は何かと慌ただしいでしょう。でも、健康やお肌の手入れ以上に、祈り、黙想など内的な生活を充実させるよう心がけて行ってください。