先週の聖霊降臨の主日で、復活節が終わり、典礼暦は年間に戻りました。
 今日の三位一体の主日は、教会暦において、父なる神、子なる神(イエス・キリスト)、聖霊なる神の三位一体の教えを記念する日です。聖霊降臨後第1主日でもあり、聖霊降臨で救いの歴史が完成されたことを感謝する日とされています。 今日は大町教会のお祝い日でもあります。多くの教会では、わたしは、教会のお祝い日は、聖人の名前や聖母被昇天などの出来事にちなんだ記念日になっていることが多いのに、大町教会は三位一体という「信仰の神秘」に属する難しい教えを教会のお祝い日にしていることを不思議に思いました。わたしが今まで働いてきた教会では、教会が献堂されたその年に列聖された新しい聖人の名前を付けている教会、滝川は聖コルベ神父、美唄は聖ピオ10世教皇、また、フランシスコ会に関わりある聖フランシスコやハンガリーの聖エリザベトの教会もありました。わたしは大町教会が献堂された当時の誰か偉い人(司教様とか管区長)が、父と子と聖霊の三位一体の神さまの救いの働きが一段落したことを記念するこの日を教会の祝日に選んで、「旭川での教会の発展もこれで一区切りついた」と思ったのではないかと想像しました。三位一体の教えはキリストが啓示してくださったからわたしたちがそれを受け入れているだけで、人間の理解を超える「信仰の神秘」です。わたしは三位一体となんとなく似ている三がつく三権分立のことを考えてみました。三権分立とは、国の権力を立法権(法律を作る)、行政権(法律に基づいて政治を行う)、司法権(裁判を行う)の3つに分けて、それぞれを独立した機関が行使する仕組みです。これは権力が一か所に集中することを避け、相互に抑制し合うことで、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障するための仕組です。この仕組みは、フランスの思想家モンテスキューによって提唱され、近代の憲法理論に大きな影響を与えました。日本国憲法も、三権分立の原則を定めています。

 最近、アメリカのトランプ大統領は、自分がなんでもできる権力者のように考えて、憲法を無視した乱暴な法令を出しています。果てには、有名なハーバート大学にもケチをつけて優秀な人材を外国に追い出しています。国際刑事裁判所(ICC)にまで、その判定が気に入らないからと何人かの裁判官に制裁を加えています。三権分立は民主主義の根本原理です。これを無視する独裁者が出てくればその国自体が成り立たなくなります。神の国の方は三位一体がうまく機能していて、いまは聖霊が全てにおいて働いておられます。イエス様がもう一度現れることはありません。人間が治めるこの世の国では、後継者や世継ぎの問題もありますが、神の国では、役割交代がスムーズに進んでいます。しかし、わたしたち人間が愚かで弱いため、神の国はまだ完成していません。わたしたちはいつも「御国が来ますように、御心が天に行われるとおり地にも行われますように」と祈っているのに「口だけの信者になっている」から情け無いですね。また今日はこの後、ジンギスカンがあるそうです。口だけの信者でなく、食べて飲むことなら得意な信者も多いでしょうね。

 先週の日曜日、教皇レオ14世は聖霊降臨祭のミサで、『世界各地でナショナリズムを助長してきたとする「排他的な思想」を拒絶するよう人々に呼びかけ、「心と思考の国境を開く」よう奨励し、わたしたちは人と人の間の国境を開き、階級や人種による壁を打ち破らなければない』と説教されました。また現在の出来事や紛争、特定の指導者を名指しすることはなかったのですが、「異なる者への恐怖を超えなければならない」と述べ、「愛があるところには、偏見の入り込む余地はなく、隣人と私たちを隔てる『安全』地帯も存在しない。悲しくも今や政治的ナショナリズムの中に見られる排他的な思考様式も存在しない」と話されました。さすがに見事な説教をしてくださったと思いました。*(O)

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〇 山本 孝神父ミサ説教 〇
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