みなさん主のご復活おめでとうございます。聖土曜日の典礼祭儀は「復活の聖なる徹夜祭」と呼ばれ、典礼の最高峰に位置するものです。そしてとても長いものです。その内容は、光の祭儀・ことばの典礼・洗礼と堅信の儀・感謝の典礼の四部構成です。

今年はB年の典礼配分なので、マルコ福音書が朗読されました。マグダラのマリア、ヤコブの母マリア、サロメの三人の婦人はイエスの復活を知らされます。ルカ福音書では、三人よりもっと多くの婦人です。マグダラのマリアとヨハナ、ヤコブの母マリア、そして一緒にいた他の婦人たちとなっています。マタイ福音書はマグダラのマリアともうひとりのマリアの二人。ヨハネ福音書では、マグダラのマリアひとりだけが墓に行っています。ヨハネはマグダラのマリアと復活されたイエスとの感動的な出会いを書くために、ほかの婦人たちを消してしまいました。これはヨハネの意図的な書き換えでした。

婦人たちは、十字架から降ろされたイエスの遺体が、安息日の始まる前に、慌ただしく葬られたので、もう一度ていねいに葬ってやりたいと考え、安息日が終わった土曜日の夜のうちに香料や油を準備し、週の初めの日の朝早く墓にいきました。イエスの男の弟子たちは皆逃げってしまっていたので、女性の強さと優しさを感じます。この婦人たちに、白い長い衣を着た若者が、イエス復活のメッセージを告げ、弟子たちにガリラヤ、すなわちイエスが最初に神の福音を宣べ伝えたところへ行くようにと伝えます。

イエスの復活の第一報は、イエスのことを親身に思い、心配していた婦人たちを通して伝えられました。これは神さまが、婦人たちのほうが噂が早く広まると思ったからかもしれません。現代ですとSNS(social networking service)を通して情報があっという間に広がります。でも、昔も今もほんとうに大切なことは人を介して伝わるものだと思います。

ガリラヤは人々がイエスと出会った場所、「神の子イエス・キリストの福音の始まり」の場所です。ガリラヤはイエスの福音宣教の舞台であって、背景でした。「あの方は、あなたがたより先にガリラヤに行かれる。かねて言われたとおり、そこでお目にかかれる」という若者の知らせは、わたしたち一人ひとりに届いています。そこは日常の現場です。「日常の生活環境に戻るように」という呼びかけです。

自分のガリラヤ、家庭や職場、日々暮らしているわたしたちのところで、復活したイエスがもうすでに待っていてくれます。ガリラヤに帰ることは呼ばれた時の初心に帰ることかもしれません。でも昔を振り返ると、昔は元気だった、若かった、健康だった、と失ったものに目が向くかもしれません。ですから、今の日常生活でできること、毎日しなければならない仕事を考えてください。しなければならないことなら、それが辛くても文句を言わずにできます。わたしたちに求められている日々のつとめは、「人を幸せにすること」と考えたらどうでしょうか。出会う人に微笑むこと、誰かを嬉しい気持ちにすること、こういった生き方なら、自分も幸せになります。復活祭はイースターと言います。イースターを機に、みんな気持ちを一新していいスタートをきってください。